SSブログ

仮面学園 [ネタバレ映画レビュー (日本)]

kamengakuen.jpg仮面学園 [DVD]

ここ3年ばかり花粉症になってしまいマスクを手放せない。顔の半分近くもある大きいヤツを、2月〜5月ぐらいの外出時は必ずしている。町中マスクの人が増えているから、恥ずかしいとかは全く感じなくなった。マスクをしている日は、極力化粧もしない。マスクにファンデーションとか口紅とかべったり付くのが気持ち悪いからだ。マスクをしているから、紫外線もあんまり気にならない(…と思う)。

で、「仮面学園」の話なのだけれど、見ていて、仮面をして出かけられたら、何て楽なんだろうって思ったのが、マスクによって現実になっているというわけだ。お店に入っても、マスクをしたまま対応する。昔だったらおそらくありえない。初対面の人に対して、マスクをしたまま対応するのって、普通は相手に失礼だろう。でも花粉症の蔓延よって、それが平気になってしまったというわけだ。

この映画が製作されたころは、町中みんなマスクをかけて歩いているというのは考えられなかったと思う。花粉症がまだまだ浸透しきっていなかったし、数年後にこんなにマスク社会がやってくるなんて、たぶん多くの人は予想していなかったと思う。

いろいろなサイトで『仮面学園』のレビューを見ると結構酷評されているのだけど、私はこういう感じの世界観ってキライじゃない。Vシネマとか、2時間ドラマとかも結構好きだし、チープ感の中にある仮想現実や本物感が、子供のころに見ていたNHKの少年ドラマシリーズに似ているような気がするからだ。

藤原竜也の映画初主演ということだけれど、出番はそれほど多くない。しかし、仮面作家(職人)・堂島暁という、ミステリアスな青年を印象的に演じている。

それにしても出演者のほとんどが演技がうまくない。
もちろんベテラン達は上手なのだけれど、若手のセリフの棒読みなところとか、演技してますという雰囲気とかがものすごい。
ただ、テレビの世界が一般化するにつれて最近のアイドルやタレントさんが芸達者になってしまっただけで、昔はこういう演技をよく見ていたように思うのは、私だけなんだろうか?
とはいっても、2000年の映画なわけだが。作りはアイドル全盛だった1970年〜80年代のような気もしてくる一作だ(決してその時代の作品をバカにしているわけではない)。

テンポの速い作品だ。
この映画は2本立てだったというので、その影響もあるのだろうか。

川村有季と芦原貢の元に、中学時代の同級生・殿村から仮面パーティーへの招待メールが届く。同じ頃、登校拒否をしていた有季の同級生・段田が仮面をつけて登校してくる。
HIROKOというモデルが仮面をつけたことがきっかけで仮面人気が高まったのだ。
しかしおとなしかった段田は仮面をつけることにより、暴力的に変身していく。
気弱な生徒達が仮面をつけ暴力的になっていくという現象は有季の学校だけではなく、全国的に広がり始める。
そんな中、殿村が自殺し、次々と殺人と自殺が起こる。
真犯人をさがすべく、有季はHIROKOが開くファッションショーにモデルとして潜入する。

渡辺いっけい、大杉漣、本田博太郎、麿赤兒。
この4人が勢揃いしているというのが、ものすごい気はする。
みんなうさんくさくて、誰を信じていいのやら、ちょっと混乱してしまうが、4人が4人とも、そこのところをわかりつつ上手に演じているサービス精神あふれる演技は、この映画でも健在だ。

最後は少しだけ切なく、甘酸っぱい感じの終わり方。
ただ、決して期待せずに見たほうがいいと思う。
そうすると意外に面白い……かも?

仮面をつけて学校に行けるっていうのが、ちょっと新しい感覚だと思った。
仮面をつけたり、マスクをかぶって外出することが普通になれば、これはこれでなかなかいいんではないかと考えてしまったりするのだ。人々は自分の仮面を自由に変えることで、変身願望を満たすことができるだろうし、匿名性も保たれる。

ただ素顔が見えないということにおいて、人は本能的に恐怖を感じたり違和感を感じるものだ。子供の頃、着ぐるみがちょっと恐かった。妹に至っては、現在でもTDLとかの着ぐるみが得意というわけではないという。中にどんな人が入っているかがわからないからだというわけだ。

仮面をかぶっているから匿名性が保たれ、周囲から直接的には本音が見えないが、仮面をかぶっているから本音が言える。
それはそのまま現在のインターネット社会にも共通しているテーマのような気がしてくるのだ。

<データ>
原作 : 宗田理「2年A組探偵局 仮面学園殺人事件」(角川文庫)
監督:小松隆志
製作総指揮:原正人
脚本:橋本裕志
撮影:高瀬比呂志
音楽:真魚
主題歌:Do As Infinity「rumble fish」
製作:「仮面学園」製作委員会(角川書店、ホリプロ、東映、アスミック・エースエンタテインメント)
主な出演 :
堂島暁(藤原竜也)…若き仮面作家。モデルTOSHIとしてショーにも出演している。
川村有季(黒須麻耶)…私立光陽館高校2年生。
芦原貢(石垣佑磨)…有季の同級生。
矢場守(渡辺いっけい)…新聞記者。
堂島レイカ(栗山千明)…堂島暁の妹。DAIMONの娘。モデル名はHIROKO。
出口大造(鈴木ヒロミツ)…DAIMONのマネージャー。
城之内雄一郎(大杉漣)…仮面の必要性を語るカウンセラー。
野坂弘美(茂森あゆみ)…有季たちの高校の先生。
水月(小野麻亜矢)…モデル。
段田徹()…有季のクラスメート。登校拒否をしていたが仮面をつけて人が変わる。
鬼頭誠(一条俊)…有季のクラスメート。
菅原刑事(本田博太郎)
DAIMON(麿赤兒)…世界的ファッションデザイナー。
殿村(山田剛)…有季と貢の中学時代の同級生。

笑うことも、泣くことも、ぼくたち は うまく できない。

2000年/日本・東映/90分
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。