SSブログ

チェケラッチョ!! [ネタバレ映画レビュー (日本)]

 
チェケラッチョ!! スタンダード・エディション [DVD]

チェケラッチョ!! スタンダード・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD


 見ている途中、連れがひとこと。「これって現代版『青春デンデケデケデケ(1992年 大林宣彦監督)』だね」って。
 デンデケデケデケを見たのは、もう結構前なのだけれど、ああ、そうだ、音楽をやりつつ友情を深めていくっていう、これもまた、青春映画の普遍的なテーマのひとつなんだって気づいた。田舎の高校生がバンドに目覚め、頑張り、失敗したり、失恋したりしながら友情を深めていく。
 もちろんオチの処理の仕方が違うし、「チェケラッチョ!!」のほうが、断然元気になれる気がする。で、どうして元気になれるのかって考えると、デンデケデケデケのほうは、主人公が将来を踏み出すところを少しだけ描いているのに対し、チェケラッチョにはそれがない。でも、そんなのがなくてもいいのだと納得させてくれる映画だと思う。沖縄の美しい海と、喜怒哀楽に正直でありながら、どこか人が良くのんびりしている人々の生き方を見ていると、透たちは、たぶんこの環境に育まれながら、たくましく生きていくんだろうなって自然と思えてしまうのだ。
 透の両親が、息子のライブを見ながら「俺たち、なかなかいい育て方をしたんじゃないか」というようなことを言うシーンがあるんだけど、見ていて本当にそう感じるし、彼らの生き方を見ていると、自分の周囲にいろいろな愛が転がっていたんだということにも、気づかせてもらったような気がする。

 高校生の頃って、好きなことややりたいことがいっぱいあるのに、妙にそれを自分自身で抑えちゃった生き方をしていたように思うのね。
 一生懸命やっても結果が出せなかったら…って、あのころの自分は漠然と考え逃げていたんじゃないかなって思う。
 結果が出せないことが、自己の崩壊につながってしまうような、そんな気持ち。
 で、結局中途半端な生き方をしてたんじゃないかなって。

 今の自分の人生にそう不満があるわけではないけれど、いまだに将来に対する不安はある。
 会社作ったけど自営みたいな自由業みたいなものだし、いざっていうとき、意外になまけものな自分のことも知っているし。

 だから「チェケラッチョ!!」を見ていると、目の前のことに情熱的に取り組める年代の透たちにうらやましさを感じたりもするし、家族と生活するために、たぶん腹をくくっている透の父親なんかにも、尊敬の念を抱いたりするのだ。
 意外に私はいい歳して、渚や涼太的な生き方をしてるんじゃないかな、そう思い至ってちょっぴり落ち込んだ。
 でも、この映画を見ていると、そんな渚に恋をする透がいて、涼太を応援する多くのファンがいて、涼太の心を動かす透がいて…そんな透に恋する唯がいて…。家族や友達や大勢の知り合いや…。
 結局そうと気づかなくても、みんなどこかで支えあって、影響し合って生きているんだって、そんなことがわかったような気がして。
 まだまだ自分が気づかないだけで、自分のことを必要としてくれる人がいるんだろうな…なんて思えて、元気になれたんだ、きっと。

 最近連れと「おもしろい映画ってどんな映画なんだろうね」って話になって、これが全てではないけれど、結局大切なのは「普遍性」だっていうことになった。
 人間の感情、喜怒哀楽は古来から変わることなくあって、程度の差こそあれ、基本的な部分は今も変わらない。
 大切な人がいなくなれば悲しいし、理不尽なことがあれば怒りを感じる。ただ、科学の進歩により、驚きの度合いとかは変わっているだろうけれど。
 で、ベタでも、人間の根本的な感情をゆさぶってくれる表現方法が私は好きなんだな〜と。元気が出る話、これも人間の心を揺さぶるテーマだよね。

 山口紗弥加はドラマ「下北サンデーズ」でいいなって再認識したんだけど、この映画でもいい味出してます。
 KONISHIKIも存在感たっぷりで、ダテじゃない。彼の水泳シーンで、太った人が水に浮かぶとこうなるのかって、素直に面白かった。

 市原隼人くんに関しては、何も言うことはありません。「虹の女神」で一目惚れしたわけだけど、個人的な感想を言わせてもらうなら、彼って、止まっているときより、動いているときが抜群にいい。まあ、まだ写真集とかを見ていないんで、決めつけることも出来ないんだけど。少なくとも映画のスチール写真を見ているとそう思う。動いてしゃべって、表情が生きて、ものすごく魅力的になる役者さんだって感じてる。
 それに彼は普遍性を演じることができる役者さんなんだと思う。彼は自分の息子であってもおかしくない年頃なんだけど、それでも彼の演技を通して、過ぎ去った月日を思い出したり、そのまま彼の年代になって物事を考えさせてくれたりする。
 とりあえず、彼の出ている作品は網羅しようと考えています。
 
 そうそう、井上真央ちゃんは、回し蹴りが美しかった。
 あー、私も10代のころ、失敗してもいいから、もっと好きなことだけ追求すればよかった〜! いや、今からでも遅くはない…か? 

 それにしても透、かなりニブい。唯の気持ちが全くわかっていないようだ。ニブい男は「虹の女神」でも演じていた市原隼人だけど、「チェケラッチョ!!」のほうが、気持ちのいいぐらいニブい男の子っていう感じ。見ていてむしろ爽快感。
 透と唯がお互いを恋愛相手として認識する様子を見たいものだって思ったけど、そういう世界観のお話は、探せばいっぱいありそうだから、ここでは描かなくて正解なんだろうな。

 ああ、沖縄に行きたくなっちゃったな〜。

〈データ〉
2006/12/30(土)午後2時ごろ〜
DVD自宅鑑賞

なんだよ?ちぇけらっちょって?
ラップでラヴでライブでピース!!
Check It Out, Yo!

監督:宮本理江子
製作:亀山千広
原作・脚本:秦建日子
企画・プロデュース:大多亮
エグゼクティブプロデューサー:関一由、島谷能成、細野義朗
プロデューサー:宮澤徹、瀧山麻土香、和田倉和利
エンディングテーマ&挿入曲:ORANGE RANGE「Walk on」
協力:ANA、日産自動車ほか
製作:フジテレビジョン、東宝、S・D・P
制作プロダクション:シネバザール
配給:東宝
主な出演:
伊坂 透(市原隼人)…沖縄の高校三年生。
南風原唯(井上真央)…透の同級生。格闘バカと呼ばれている。実は透のことが好き。
玉城哲雄(平岡祐太)…透の同級生。
本部 暁(柄本佑)…透の同級生。
多良間涼太(玉山鉄二)…沖縄インディーズで大人気を誇るバンド「ワーカホリック」のボーカル。
アンディ・クラレンス(KONISHIKI)…美奈の夫。海辺でカフェをやっている。
中村 渚(伊藤歩)…透がバイト先の水族館で一目惚れする年上の女性。
南風原美奈(山口紗弥加)…唯の姉。アンディと結婚する。ワーカホリックの大ファン。
南風原ちさ(樹木希林/特別出演)…透の亡くなった祖母。
本部修一郎(柳沢慎吾)…暁の父。玉城克治と顔を合わせるとお互いケンカばかりしている。
玉城克治(松重豊)…哲雄の父。
伊坂和子(大島さと子)…透の母。
喜屋武茂雄(川田広樹/ガレッジセール)…透たちの担任教師。見合いに失敗し続けている。
源河 一(ゴリ/ガレッジセール)…個人タクシーの運転手。
南風原恵子(筒井真理子)…唯の母。
本部聡美(種子)…暁の母。
南風原稔(平田満)…唯の父。長女の美奈が自分と三歳しか違わない男と結婚したことに納得してない。
伊坂平介(陣内孝則)…透の父。自営業でシロアリ駆除をしている。

098…透、哲雄、暁の作ったバンドのバンド名。沖縄の市外局番からとった。

2006年・東宝・日本/117分
(C)2006 フジテレビジョン/東宝/S・D・P
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。