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青と白で水色 [ネタバレドラマレビュー(日本)]

aotoshirode.jpgシナリオ登龍門2001 青と白で水色 [DVD]

日本テレビシナリオ登龍門の2001年度大賞受賞作品がドラマ化された作品。
実際に放映されたのは2001年12月1日ということで、今見ると宮崎あおい、蒼井優、小栗旬と蒼々たるメンバーなのだが、当時はみんなまだ若い。若いけれども確かな演技力を感じさせる、見応えのある作品になっていると思う。
いじめをテーマにした作品は近年多いが、これもそんな作品のひとつ。

登場人物の設定がなかなか良い。特に小西真奈美が演じる臨時教師の大内瑞穂の設定は印象的。杖をつきながら登場する、足が悪い教師、瑞穂。その足が悪くなった原因は結構衝撃的だ。一見弱々しそうな彼女は重い過去と深い傷を抱えていて、消え入りそうな声が彼女の傷の深さを物語る。しかし、瑞穂の中には、強い信念が感じられる。瑞穂の事件を知っている教師・加納から、「おまえ教師になったんだ……。おまえにできんのか?」と聞かれた瑞穂は「はい、なんとかやれると思います」と淡々としかし穏やかに答えている。

高校2年の内山楓(宮崎あおい)は中学時代は親友だったはずの椎名かすみ(蒼井優)達からひどいいじめを受けている。楓には、なぜそうなったのかがわからない。そしてかすみと一緒に聞いていた森田童子の「たとえばぼくが死んだら」のCDを大切にしている。かすみがなぜ楓のことをいじめるようになったのか、ドラマではその理由は明かされていない。しかし、あまりにも堂々としたいじめ方の裏に、少女達の成長による葛藤や変化が垣間見える。前髪ぱっつん髪型の蒼井優は、潔いまでのいじめ方をしていて恐いぐらいだ。現在のほんわかとした雰囲気とは全く違っている。

楓の瞳は何かを捨ててあきらめているように見える。それは周囲に対しての失望なのかもしれない。かすみだけではなく、いじめに気づかない学校や、母親や全てのものに対して冷め切っている。しかしそれでも、どこか強さを失っていない。楓を演じる宮崎あおいの瞳の演技力に驚かされる。

そんな楓もついに追い詰められ、学校の屋上に出ようとするのだが、屋上には鍵がかかっている。
休み時間ごとに屋上の鍵を開けようと試みる楓は、学校の自転車の鍵を開け泥棒することが常習化している同級生、岸田匠(小栗旬)と知り合う。

ある日、かすみから激しくいじめられ、ふたりの思い出のCDを割られた楓は「なんで?」と叫び、教室を飛び出し屋上に向かう。
屋上に続く階段の踊り場には、匠がいて、必死に鍵を開けようとする楓を見守る。

同じ時、教室では、瑞穂がかすみ達生徒に向かって、自分の過去の罪を語っていた。
大人になって思い返せばたいしたことではなくても、少女時代というのは残酷なまでに相手を憎むことができるのではないか。大内瑞穂の生徒達に向けての告白、淡々とした語り口は、誰にでもそんな時代があったことを思い出させてくれるように思う。瑞穂のセリフはとても印象的だ。

「人のことを嫌うという感情は、悲しいことですが、誰しも持っているものです。でもそれを行動に移すことは、誰にも許されていません。いじめは何も生み出しません。いえ、関わる全ての人に不幸を生み出します」
「何がきっかけで傷つけたのかは知らないけど、好きとか嫌いとかそんなものは、人を傷つける理由になんてなりません。このままじゃ、誰も救われないんだよ」

瑞穂のセリフに、どこかそわそわと落ち着かないかすみ。

いじめられることで傷を負う人は現在でも数多くいるだろう。それでは、いじめた側はどうなのだろう。現実的には、いじめることによって深い傷を負った大内瑞穂は特殊な例かもしれない。それでも、この瑞穂の告白は、ドラマだと考えても、インパクトが強かった。

ようやく鍵が開いて屋上から光が差し込む。屋上に出た楓を追いかける匠。楓は頑張れそうにないと匠に伝え飛び降りようとするが、匠と会話しているうちに、まだ死ななくてもいいのかなと考えが変わっていく。
匠という理解者がいたから、楓は死を選ばなくてよかった。ひとりでも味方がいれば、現実社会でも、いじめによる自殺は減るのかもしれない。匠の存在はそんなことを感じさせた。そして、そんなふたりを、楓を探しにきた瑞穂がそっと見つめていた。

いじめが引き起こす不幸な連鎖を断ち切るためにどうすればいいのだろうと、考えさせられる作品だ。
青と白は空と雲。全くの別物だ。しかし、青と白は混ざり合えば、水色という新しい色を生み出す。
廊下を歩く楓の瞳が、強く前向きに生きていく楓の未来を予想させる、そんな終わり方になっているのが救いだ。

<データ>
脚本:桜井剛
監修:吉野洋
チーフプロデューサー:増田一穂
プロデューサー:大野哲哉
撮影監督:柴主高秀
演出:高橋直治
音楽:森田童子「たとえばぼくが死んだら」 eastern youth「たとえばぼくが死んだら」
主な出演:
内山楓(宮崎あおい)
椎名かすみ(蒼井優)
岸田匠(小栗旬)
加納茂(相島一之)…楓の高校の教師。瑞穂が高校生だったころからこの学校にいるらしい。
大内瑞穂(小西真奈美)…楓とかすみのクラスにやってきた臨時教師。
内山恵子(銀粉蝶)…楓の母親。飲み屋をやっている。
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キキコミ [ネタバレドラマレビュー(日本)]


キキコミ [DVD]

キキコミ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ポニーキャニオン
  • メディア: DVD



甘く見てると
ダマされちゃいますよ

っていうコピーは映画「アフタースクール」のものだけれど、「キキコミ」ではみごとにだまされちゃいました。
甘くみちゃダメです。
最初は小品かなって思って見始めたところ、初っぱなから出てくる升毅。
これで決まりです。
とにかく「くすり」と笑ってしまうシーンや掛け合いが多く、最後まで見ると、全てがつながり、結局最初に戻ってしまうような…そんな感じ。
上手に計算されている割には、その計算を感じさせないし、遊び心いっぱいで、面白く楽に見られました。
演出も上手なんだけど、キャスティングが良いのでしょう。
ものすごく力のある役者さんが次々に登場します。

DVDで鑑賞したのですが、最近には珍しく4:3の画面なので、なんだ〜と思っていたら、もともとニフティの動画でやっていたんですね。ギャオを始めとする動画はよく見ているつもりだったんですが、ニフティはノーチェックでした。

加藤夏希の演技は今まで「花より男子」でしか見たことがなかったのですが、なかなか良いじゃないですか。バラエティなどに出てくるとき、カワイイのにさばさばした感じに好感を抱いていたのですが、「ママだよ〜」というセリフがよかったです。

2010年9月25日から開催される千葉国体マスコットキャラクターの「チーバくん」。
ワタナベ トミおばあちゃんが持っていたぬいぐるみが、どう見てもチーバくんでした。

この作品は、「落ち」はネタバレレビューでも書かない方がよいですね。
何だか気分がすぐれないときや、何か見たいんだけど、疲れているので大作はイヤっていうときには、ぴったりだと思います。

疲れず、笑えて、かといって笑いすぎて疲れることもなく、見た後にいろいろ考え過ぎることもない、そういういい感じの作品です。

<データ>
監督・脚本:西田征史
音楽:こばやしたつや

出演:
アオヤマ マドカ:加藤夏希…キキコミ中の刑事なのだが。。。
ゴウダ ヒロシ:升毅(第1話)…源氏名チーちゃん。
スズキ ナオキ:山本耕史(第2話)…詩人。
ワタナベ トミ:京田尚子(第3話)…おばあさん。
タカハシ コウイチロウ:北村有起哉(第4話)…サド夫だったらしい。
キョウモトサン:京本政樹(第5話)…緑色のシャツが似合ってます。
タナカ トモコ:霧島れいか(第6話)…人から頼まれるとイヤと言えないらしい。
コバヤシ テッペイ:岡本拓朗(第7話)…ピザ作りが好きな中学生。
ナカムラ マユミ:川俣しのぶ(第8話)…手モデル。
?????:片桐仁(第9話)…指名手配中。
ヤマモト ミホ:黒川芽以(第10話)…ただいま同棲中。
トドロキ リョウスケ:ムロツヨシ(第11話)…レンタルビデオ屋の店長。「サマータイムマシンブルース」以来です。軽妙な感じに思わずクスッ。
サトウ ケンイチ:市川しんぺー(第12話)…盗撮が趣味。こういう存在感の役者さんって意外に少ないと思う。
イトウ マサミ:後藤邑子…迷子になったボーダーコリーのマロンを探している。
若い刑事:松田賢二
ベテラン刑事:清水宏
アックン:兒玉宣勝(第10話)…ミホはベタ惚れしている。
酒屋の若旦那:中村獅童(第12話)…こう来たか…って思いました。

2007年/@nifty動画/65 分


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