神様のパズル [ネタバレ映画レビュー (日本)]
青春ラブコメSFファンタジー?
いろいろあり得ないなと思う部分はあるものの、遊び心がいっぱいだと思います。
深く考えず、勢いとノリで見ると楽しいのではないかな。
で、これはきっと大きな画面で見るほうがおもしろい映画なんだろうね。
第一小さい画面だと「無限」の壮大さや、なごみ感を誘う田んぼ景色や、インド……そんなものの雰囲気が味わえない。
インドシーンが無駄という感想もあるようだけれど、ガンジス川の流れがあることで、淡々とした悠久の時間の流れというものがよく現れているようにも思う。
どういうことかというと、時間の流れをとらえるとき、普通はどうしても自分中心で考えがちなのだけれど、他人にはその人なりの時間があるわけだ。つまり今、世界の別の場所で時間を過ごしている人が大勢いるわけで、そんな当たり前のことが映像として表現され、感じさせてくれているような気がしたのだ。
地球は宇宙空間に浮かんでいるわけだから、その地球にくっついている、田んぼだって、教室だって、宇宙空間なのよね。。。なんてことを考えたりしてしまう、妙にテンポのよい映画なのでした。
サラカ(谷村美月)のジャージスタイルがなかなかのものです。演技も含めて、彼女をいろいろな意味で見直しました。口調といい、笑わない表情といい、美胸といい、一見の価値ありと思います。
基一(もとかず・市原隼人)はありえない妄想シーンが多いのですが、それでも何だか勢いに押されて見てしまうという感じなのです。
白鳥(松本莉緒)も熱演しているし、現代の大学生ぐらいの女性の恋愛観を、出演時間が少ない割に、上手に表現していると思う。
いろいろ語るよりも、まあ見て楽しんでくださいっていう、そんな映画だと思います。
ただ、最後のほうの相理(あいり・黄川田将也)の行動には何だか納得がいかなかったなぁ。原作を読んでいないので、何とも言えませんが……ね。
特典ディスクがなかなかおもしろかったです。
ひもで縛られるシーン、映画だと本当にちょっとだけのシーン。
それにあんな時間をかけて撮影するところが、映画のおもしろさなんだろうなって思いました。
また、エグゼクティブ・プロデューサーの角川春樹がその健在ぶりを示しているように思います。昔の勢いはないものの、この映画を制作するきっかけが獄中で読んだこの本だった…というお話とか、市原隼人との無重力体験とか。
角川映画で育った世代にも、なかなか楽しく鑑賞できるのではと……。
まあ見る人によっては、期待しなければ、それなりに面白いっていう感じかもしれませんが。
私的にはアリでしたね。
それにしても、「無限」って結局何だったんだ?
そんな感じを抱かせちゃう、すごさがありますね。
まあ、国家予算を使って馬鹿みたいなことをしている例は現実社会にもたくさんあるわけで、これはそんなことを皮肉っているのかもしれませんよね。
<データ>
監督:三池崇史
エグゼクティブ・プロデューサー:角川春樹
脚本:NAKA雅MURA
音楽:鳥山雄司
主題歌:ASUKA「神様のパズル」
主な出演
綿貫基一/綿貫喜一:市原隼人…基一は寿司屋でロッカー。喜一は大学生。双子。
ホミズサラカ:谷村美月…人工授精で生まれた天才少女。16歳。飛び級で大学生になる。
サラカの母:若村麻由美(特別出演)…サラカに彼女なりの愛情を注いでいると考えられる。どうしてあんな大きなお屋敷に住んでいるのかちょっと謎。
白鳥:松本莉緒…鳩村ゼミの学生。基一憧れの人。
佐倉:田中幸太朗…鳩村ゼミの学生。喜一ばかりではなくもともと基一とも知り合いのよう。
須藤:岩尾望…鳩村ゼミの学生。
相理:黄川田将也…鳩村ゼミの学生。妙に理屈っぽい大学院生。白鳥の彼。
鳩村:石田ゆり子…教授らしく見えませんが、「無限」ができちゃう時代なのでこういう設定もありかも。
村上:國村隼…鳩村より偉い教授。
橋詰:笹野高史…聴講生の老人。基一と一緒に山田さんのところにバイトに行く。
山田:李麗仙…農家の女主人。
権田原:六平直政…基一が働いている寿司屋の主人。
電力流通本部長:遠藤憲一
体育会系の学生:小島よしお…ただ大学構内を走り抜けるだけだったよーな?
2008年/東映/134分
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