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自虐の詩 [ネタバレ映画レビュー (日本)]


自虐の詩 プレミアム・エディション [DVD]

自虐の詩 プレミアム・エディション [DVD]

  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
  • メディア: DVD


こともあろうに、特典映像から見てしまった私。
この映画について全く知らなかったので、まずは予習気分だったともいえるけれど。
で、ちゃぶ台返しに高まる期待。
セットに高まる期待。

でも本編見たら、ちゃぶ台返しについては期待が大きすぎたかも。
私の世代はちゃぶ台返しといえば、一徹父ちゃんだ(by 巨人の星)。
それとも寺内貫太郎一家か?
セットはなかなかすごかったです。

世の中自分から不幸を引き寄せる体質の人っていると思うのだけれど、この幸江がまさにそうだ。
中谷美紀の語りがなかなか良い。
不幸の中の幸せっていう感じがよく出ていると思います。
そして無口な阿部寛がとにかく良い。
台詞はほとんどないんじゃないかな?
何言しゃべったんだろう?
でもその存在感はものすごい。

今まで、阿部寛の出ている映画やドラマは、「TRICK」とか、「結婚できない男」とか、「大帝の剣(←これは別の意味でものすごい映画だった…)」とか、割と軽めのコメディタッチのものばかり見ていた。「自虐の詩」もある意味コメディなんだろうけれど、演技はコメディじゃなくて、シリアスだったなぁ。

夫婦にはいろいろな愛の形があって、幸江とイサオのような愛があっていいんだと妙に納得できる。
周囲に何を言われても、イサオを信じる幸江には幸せになってほしいと感じたものだ。
ふたりが出会った頃、幸江にとって、イサオは本当に苦しいときにそこから連れ出してくれた人だったわけだし、イサオにとっても、彼女がいることが日々の支えだったんだろうなって感じる。

普通は一緒になって時が流れると、愛だけではうまく行かないことも出てくるし、ふたりの関係も揺らいでいくものだ。
でも揺らがない幸江。これがすごいのだ。
この幸江のイサオへの思いが、全編を通じて流れているので、安心して鑑賞することができたのだと思う。
そして見ているうちに、イサオも実は揺らいでいないのだというのがわかってくる。

だからエンドロール後のシーンは嬉しかった。
ああいうのを蛇足だと考え、好きではない人もいると思うけれど、私的には「見たいシーン」を見ることができたように思う。

あさひ屋のマスターと幸江の父親(西田敏行)との掛け合いは妙におかしかった。
マスター役の遠藤憲一さんは昨年の秋、道を歩いていて、なぜかすれ違ったことがあるのだけれど、背が高くてスラリとしていて、でも気取った感じもなく、かっこうよかったです。
白いTシャツにジーパンに帽子というラフなスタイルだったけど、白いTシャツって着こなすのはなかなか難しいと思うので、さすが俳優さんだと感じました。

そうそう、少女時代の熊本さんの存在感は素晴らしかった。
幸江(中学生時代の幸江・岡珠希)も熊本さん(中学生時代の熊本さん・丸岡知恵)も、少女時代の役者さんがものすごくよくって、電車での別れのシーンはほろりとしてしまった。一方で笑えるシーンも多かったし。
カルーセル麻紀にもなごまされます。とっても素敵なおばちゃんっぷり。あまりにはまりすぎて、他の配役が考えられない感じでした。

印象に残ったシーンは、イサオと一緒になる前の幸江が、アパートの一室で幻覚を見たりするシーン。ネオンの光が部屋の中に差し込んでいる感じがなかなかでした。
あとはやっぱり最終シーン。幸江とイサオの優しい表情に心温まりました。

この作品、とっても救いがあるし、ささやかな幸せを夢見ながら、みんな頑張って生きているんだなっていうふうに感じます。
堤幸彦監督作品だというのは、見ているとすぐにわかります。
とにかくテンポというか、間、あと映画の色調が堤作品です。
何も見るものがないときには見てみると、結構楽しめる作品だと思った次第です。

〈データ〉
原作:業田良家
監督:堤幸彦
脚本:関えり香 里中静流
製作総指揮:迫本淳一
音楽:澤野弘之
美術:相馬直樹
主な出演:
森田幸江(中谷美紀)…働かない内縁の夫・イサオを支えるため、定職屋でパートをしている。イサオといれば幸せらしい。
葉山イサオ(阿部寛)…働かず幸江の稼いだ金を酒やギャンブルに使う。気に入らないことがあるとちゃぶ台をひっくり返す。
森田家康(西田敏行)…幸江の父親。
あさひ屋マスター(遠藤憲一)…幸江が働く定職屋のマスター。幸江に惚れている。
熊本さん(アジャ・コング)…幸江の本当の友人。
福本小春(カルーセル麻紀…幸江とイサオが住むアパートの階下に住むおばちゃん。幸江の悩み相談に乗ったりなど、何かと面倒見が良い。
組長(竜雷太)…イサオを見込んで組に誘う。イサオの亡き父親とも知り合いだったらしい。
2007年/松竹/115分


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